さて、ジェンダー平等について、ワタクシの経験をもとに考えて書いてきました。
今回は能力主義、成果主義の評価について、これまたワタクシの経験をもとに書いてみたいと思います。
最初に私が働いた職場で、女子社員の売り上げが総じて男性社員より少なかったという事実を前回書きましたが、その後自分も人生を重ねて「こうすればハンデを克服できるかも……」という視点も持っていますので、それを次回は書きたいかな。
さて、最初にワタクシが就職して働いた職場を例にとって、書いていこうと思います。
そこはパソコンの専門店。
で、ワタクシはビジネスパソコンの売り場に勤めていました。
男性、女性社員の間には結構な売り上げ格差があったのは事実ですけれど、それには少し分析もいるかなと思います。
また、男性社員ならば必ず売り上げは多いのかと言うと、それは男性社員間にも開きはありました。だから、そのあたりから始めようかな。
よく「2:6:2の法則」ということが言われますね。
それって私のいた売り場でもそうで、やはり売り上げのエースはいました。
月に800~1000万円売り上げたりするモンスターです。
とはいえ、売り上げというものは、店に出ている時間と相関関係があります。店で販売している時間が長ければ、当然それにつれて売り上げも上がります。
社員は仕入れもしますし、仕入れに関して営業さんが来られたらその方と商談もします。
女子社員は店舗における事務処理。備品の管理や釣銭の両替に行くなどの時間がありました。まあ大体、営業時間のうち3時間は必ずその他の業務をしていた感じで、確かに女子社員の接客時間は短かったと言えるかもしれません。
また、店長、課長あたりは管理業務もあります。
全員の売り上げについて、それをどうやったら上げられるかとかに要する時間。
お客さんのクレームの最終的な引き受けとか、万引きを見つけたらその犯人を警察に引き渡したりとか。
市場の調査……と言うと大げさだけど、競合他社の動向の研究とか。
ですから、店長や課長の売り上げは一般社員より少ないのが普通です。店頭に出る時間が短いんですから。
また、店長の指令の元、倉庫の整理とか販促物の整理とか売り上げに直結するような大事な業務だけど、まあ多くの社員はやりたがらないような業務もありました。そういう「倉庫整理」関連は男性社員はやってましたから、女性社員だけが店舗にいる時間が短い、ということでもなかったです。
また、パソコンを扱う売り場ということで特有なのが「マニア」の接客ですね。
ワタクシの売り場にもいらっしゃいました。とにかくよーーーく知ってるんです。で「マニア」さんの接客って長い時間(長かったら3時間とか💦)かかって、で、買ってくれるのは用紙だけとかいうことも少なくないんですけど、そういう接客も必要はあったワケ。で、その社員は売り上げはイマイチ……仕方ないですね。
ワタクシは外国人が(当時はめっちゃ少なかったんですけど)来店したら、英語の通訳とかしてましたかね(下手でしたけど他の社員はできなかったから)。
で、やはりというか、店長はエース社員にはそういうことは滅多にさせてませんでした。
フォワードは点を取るのが仕事!
だから倉庫の整理とかには呼ばず、とにかくどんどん販売してなさい、ってこと。
あと、販売員も人間ですよね。
「胃が悪い」社員もいましたよ。やはり売り上げは芳しくはなかったですかね……。
というふうに、障害を抱えていなくても、それはそれなりに男性社員間でも体力の差と言うか、体調の差で成績が変わる、ということはありました。
そうですね。
だから、能力主義、成果主義の評価は良いものだとは私も思ってるんですけど、ちょっと危険もあるかなと。
例えば女性、男性社員間で売り上げに格差がある、女性は総じて低い。だから男性社員を中心に雇用しよう。そういうのはすごいわかりやすい。
でも、例えばこれが皮膚の色の黒っぽい販売員と白っぽい販売員では白っぽい販売員のほうが売り上げが高いから黒っぽいのは避けよう。そう考える企業が(アメリカに)あったら、どう思います?
また例えば、背の低いアジア人は高所の物を取るのに脚立を持って来ないと取れない。でも背の高い白人ならすぐに取れて効率が良い。と評価する企業が(ヨーロッパに)あったら?
これって女性は重い物を持つのに二人要るけど男性なら一人で持てる、というのと同じ図式です。
店頭に目の見えない販売員がいても客は避けるから、店頭にはこれからもずっと未来永劫、目の不自由な人は立たせない?
手や足が不自由な社員は在庫を持ってくるのにも誰かの助けが要るから非効率、だから雇わない?
能力主義や成果主義は、そういう何らかハンデのある、あるいはすごーーーく見えにくい(皮膚の色の違いが接客に影響するとか、健康状態が売り上げに影響するとか)格差を持った人を社会からはじいてしまいます。昔の私と一緒で、
ああこの土俵では勝負にならん!
と、くじけてしまうことを引き起こす。
そういう怖さがあるって自覚したい。
( ̄ー ̄)
また、エース社員がエースとしての働きをするために、その他の社員は縁の下の力持ち的な業務を担っていることもある。
成果主義を突き詰めると倉庫整理する社員いなくなっちゃう💦
誰だって成果を挙げたいものね。
とはいえ、じゃあ、どんな評価方式が良いのかというと、ワタクシはやはり現在の方式を採用してる社会が総じて豊かさを享受している、という事実があるから、能力主義や成果主義をやめてしまえ、とは考えません。
やっぱりねえ。
エースが点取る社会であってこそ、チームは勝つわけなんで。
中国で階層格差を解消しようとした文化大革命はあんなことになりましたし。
(でもジェンダー格差の解消は、中国はあれでものすごい進んだとは言えるけど)
でも、全体の豊かさが損なわれてしまったら福祉も遅れてしまうので、「エースが評価される」はすごい大事なことだと考えます。
次回は「とはいえハンデを持ってても能力主義、成果主義の世の中を泳いでいく方法はあるんじゃないか」という考えで書いてみようと思います。
「この土俵」でも「勝負になる方法」はきっとあると信じて!
仔羊おばさん