さて、男女雇用機会均等法がめでたく施行され(1986年)、もう忘れるくらい何年も経った頃のことを書く。
ワタクシも社会に出て、転職もしながら働き続けました。
パソコンも習得したし、英語の検定試験も受けて当時で2級(今の準2級くらい)に合格しました。
中国語はビジネスレベルを獲得。
エヘヘ。
日本語教師、貿易、小口輸入や小売、通販その他、仕事の経験も様々積ませていただきました!
結婚もしました。
子どもも生みました。
まあ、辛い経験もそれなりに積み、まあお見事に中年になりました。
失業もですねえ。
お見事にやってまいりました!
('ω')ノ
たしかねえ。日韓ワールドカップ開催(2002年)あたりですわ。子供はまだ小さかったよなあ。
( ̄▽ ̄)
懐かしい。
一時期、ハローワークに日参していました。
ウチの近所のハローワークにも行き、女性専用のハローワークにも行きました。
女性専用のは「なんば(難波)」という結構な繁華街の立派なビルの中にありました。
駅にも近い一等地の半端なく大きいビルの中。すっげー綺麗でした。
女性の雇用がなかなかなくて困ってる女性を助けるためにそういうところが開設されていました。子どもを連れていけるようなところだったと思います。
都会はありがたいですね。
ある日ある時、その同じビルに「人材登録会社」が入っているのを見つけました。
派遣じゃないですよ。「登録」です。今のキャリア転職みたいなものを扱っている会社でした。しかも、社名も全国区の有名企業。さすが難波の一等地。
(*‘∀‘)
そうだ、とりあえず登録してみたら!
もしかして正社員の働き口が見つかるかも!
ワタクシは希望に燃え、きれいに書いた履歴書をかばんにしのばせ、びしっとスーツでキメて、その人材登録会社の受付にある日、向かったのです。
受付には、これまたダークなスーツに身を包んだ受付の女性が座っておいででした。
ワタクシが、受付にうかがい「あのう、求職中なのですが」と申しましたところ、その方はすっくとお立ちになりました。
そしておっしゃいました。
「はい。女性の方の求人は〇階にございますので、そちらにいらっしゃってください」
「〇階」とは、女性専用ハローワークのフロアです。
そう。
ワタクシは、
門前払い
にあったのです!
学歴も聞かれなかった。職歴も聞かれなかった。
資格やスキルについても聞かれなかった。
履歴書も預かってもらえなかった。
女性=人材ではない
を、思い知った瞬間でした。
当時の正直なワタクシの思いを告白すると、一番は
恥ずかしい
でした。情けないけど、本当にそうでした。嘘はつけない。怒りも悔しさも湧かなかった。
( ̄ー ̄)
「女性は人材登録会社に登録できない。中年にもなって、そんな常識も知らずにのこのこ登録にやってきた」そんなやつなんだ私は……。と、思ったのが正直なところです。難波の一等地の大きいオフィスビルに入っている企業でしたからね。気後れしてたのもあります。もう中年の子持ちでしたしね。
自分のことをいっぱしのキャリアウーマンだとでも思っているのか!
自分のバカ。身の程知らず。そんな気持ちが1番最初にきました。
2番目が
でも、それはおかしい
という思いでした。
もう施行されて何年も経っていますよ。
百歩譲って女性を閉め出してもいい。でも、履歴書くらい見てもいいのに?
形だけでも?
でも、それもなかったんですよね……。実話です。
当時だってその現実を新聞社に持って行ったりしたら、あるいは取り上げてくれる記者さんもいたかもしれません。
裁判を起こすというやり方もあったかもわかりません。
でもそういうことはしなかったし、受付の方に抗議することもしませんでした。
そんなことに時間やエネルギーを費やしてる暇があったら、とっとと仕事を見つけて働かないと日々の暮らし、マンションのローン、行き詰まってしまいます。
そう。
貧乏人に差別と闘ってる暇はない!残念なことではありますが。
そう。もう一度説明させていただきますが、場所は難波の一等地。
受付の女性の仕事は「フィルター」ですね。
彼女は結構申し訳なさそうな顔をしてくれましたよ。
今、就活で「学歴フィルター」の件がよく言及されますね。当時はまだネット社会じゃなかったから「人間フィルター」だったワケ。それだけでもましか。
自分でもお人よしだなと思うのですけど、その人材登録をやってた会社名はきれいさっぱり忘れてしまいました。
でも、今もテレビでキャリア転職のCMをやってる会社の中の一つであることは間違いありません。
どうしてそういう門前払いをするような企業が大した批判も受けず、法律違反にも問われず、倒産もせずに多くの方の転職を扱い続けていられるのか、ワタクシなんぞににゃよくわかりません。
「学歴フィルター」も、みんな心のどこかで思ってるんだよね。
それはおかしい
って。
とはいえ、門前払いの経験も、今となってはいい経験だなと考えています。
踏まれた経験がえもいわれぬ味となってワタクシを今飾ってくれている……。
そんなふうに思います。
ふふふ。
仔羊おばさん