50~60代女性の転職 from55life

長年のワーキングマザー経験から綴る今

建設的な意見を書きたい

一昨日、このニュースが大きく報道されていました。

無罪判決が出たのです。

犯人は精神疾患による心神喪失状態であったということで無罪。
www3.nhk.or.jp

精神疾患」とは統合失調症

統合失調症の患者が殺人事件を起こした事例は、私の地元・大阪に限っても2件ほど大きいのが過去に起きています。私が覚えているものだけで、です。

あまりに突然、それも「通り魔」的に起きたりするので怖い、また「被害家族にとってのショックが大きすぎるとともに、裁判で無罪になったりするので第三者にとっても非常にやりきれない」という印象が私にも強く残っています。

今日、ワタクシがこれについて書きたいと思ったのは、自分自身の息子が統合失調症の診断を受けて、今療養中だからです。

猫 息子 に対する画像結果

まずは、被害に遭われた方に心からのお悔やみを申し上げたいと思います。

自分の家族は守られることなく殺されたのに、犯人の命は法に守られる。その矛盾に怒りを覚えるのは当然のことです。

きっとこのブログをご覧の方の中にも「無罪など受け入れられない」という感情をお持ちの方はいらっしゃると思います。

 

こういった悲劇を生まない方法はあります。

私はこの事件も、また他の統合失調症患者が起こした事件も今なら防げると思っています。

でも、それには多くの人がこの病(やまい)について知ることと、企業や学校、家族や知り合いを通じて迅速に患者を医療につなげることが必要です。

f:id:from55life:20211105155108p:plain

私は、自分の息子がこの病気になる以前に、日本語学校の学生がこの病気だったことがあって(もう10年以上前のこと)、通訳などで一緒に精神科にもつきそったので、息子の時もあまり慌てずに済みました。

その学生は病院に行き投薬を受け、保証人(親戚がいた)の助けも得て、その後も留学生活を続け、留試の点数も高得点を取得(なんと数学で満点に近い点を取った)、かなりの名門大学にも合格しました。

うちの息子もいろいろ問題は起こしましたが、診断を得て薬を飲むようになってからはすっかり穏やかになり、むしろ気弱な子供っぽい青年、といった体(てい)です。

 

まず、この分野の治療と薬は日進月歩で、とても進んできています。

周囲のサポートがあれば、突然の事件はちゃんと避けられるところにきています。

 

まず、統合失調症の典型的な症状として、幻覚や幻聴、妄想などがあります。これは「陽性期」と言われる時期に起きる症状です。

突然、家の中にいるはずのない人間が突如現れたら、それはそれは恐怖です。

映画の「シャイニング」状態です。

私だって怖い。

これは、認知症などでも起きてくるケースがあるそうです。

幻聴は「〇〇をしろ」というようなメッセージ性のあるものだけでなく、雑音とか騒音の場合もあるようです。私は経験ないのでわかりませんが、ウチの息子も最初の頃はイヤホンをずっとつけてるので「耳に悪いから音楽ずっと聞くのはやめろ」と言ったら、「別に聞いてるんじゃない。うるさいからだ」と言ってました。

息子の場合は周囲の音にすごい敏感になってて、それが気になって何もできないという感じでした。

猫 イヤホン に対する画像結果

逆に「陰性期」と呼ばれる時期もあって、この時期は「何もできない状態」で、おそらくこの時期に他者を傷つけるとかは考えにくいです。

うちの子だと、ずーっと寝てたりしました。また、買い物でも迷ってしまって「選べない、決断できない」とか。

 

さて、そういった症状は何ゆえに起こるのか?

原因の特定はまだされていませんが、脳の神経伝達物質の関連が考えられています。

100人に1人くらいの発症率で、少なくないです。

年齢は10代~30代前半に集中しているそうです。

ざっくり理解は下記のNHKのがまとまってます。

www.nhk.or.jp

要は、早期に発見と対処ができれば、この事件みたいな悲劇は防げるのです。

 

家族が発見できればそれに越したことはありませんが、学校の友人や職場の同僚の方が変化に気づきやすいんじゃないかと思うことがあります。

認知症も家族よりは他人のほうが冷静に判断しやすい場合があると思うんです。家族は「でもまともな時もあるし……」みたいに考えがちですから。

 

で、ワタクシが思うに友人や同僚が「あいつは急に性格が変わった」「何かおかしい」「つきあいにくくなった」「できたら職場から出てってほしい」「もうあいつとはつきあいたくない」といった行動が出てきたら、

もしかしたら統合失調症かも

と、疑いを持って、一刻も早く家族や保証人などに連絡してほしいと思います。

ちなみに、ワタクシは当初「麻薬に手を出したのでは?」と疑ってました。

息子に聞くと、精神科で診断を受ける1年半ほど前から、「それまで仲のよかった友達とかが、敵に見えるようになった。たぶんあの時期が最初だったと思う」と言っていました。

急に「非友好的」になったりするわけです。

同じ職場の人間だったら家族に「もしかしたら精神疾患かもしれないから病院に……」なんて言いにくいでしょうね。

それで精神科にかかって(でも実際、精神科の予約を取るのってものすごい難しかった。どこも予約でいっぱいで半年先、とか言われましたよ)、診断がつかないかもしれませんが、もしかしたら……という認識を持つことで、次から受診がしやすくなります。

本人には病識がないので、これは周りが無理やりにでも受診につなげないと、万一の場合、今回の事件のような悲劇を生むかもしれません。

 

統合失調症といっても、陰性期の患者などはそんな事件を起こす可能性はみじんもありません。問題は「陽性期」にある時ですね。

でも、ちゃんと投薬など受けていれば症状は抑えられます。

事件再発を防ぐのは「周囲の冷静な判断」にかかっています。

もしも皆さんの周囲に「もしかしたら……」という方がいたら、「幼児虐待の発見」と同様、通報や連絡は躊躇せず行ってもらいたいと思います。

 

仔羊おばさん