日本留学試験の日本語科目に関する記事の3回目です。
さて、記述を除くと400点満点の日本語の科目があります。
聴解・聴読解・読解があります。
「読解(読んで理解する問題)」40分(200点)
「聴解・聴読解(聞いて理解する問題)」55分(200点)
という構成になっています。
4択です。
学生に聞く
学生に「今回の留試はどうでしたか」と聞いて、「易しかった」あるいは「思ったより易しかった」という返答が返ってきたことは1度もありません。
読解の最高点を取得した学生でも、そんな返答はしませんでした。
大学での授業のごくベーシックな日本語……ということは、必ず初めて聞く言葉が入っているといっていいのです。
また、問題の形式、特に聴読解の図や表など、それまで見慣れていない形式のものも含まれていたりします。
そもそも、日本語学校に留学に来ている学生さんたちはグラフに弱い、という印象があります。
中には問題ない学生もいるので、全員ということはないんですけど、「自国で思うようなレベルの大学に入れなかったから日本に来ました」と言っている学生はやはり弱いんだと思います。
また、各日本語教育機関が学生募集を行う過程で「日本語能力は調べる」けれども「その他の能力は審査していない」というのも、その原因の一つでしょう。
いたしかたありません。
125分
記述ー読解ー聴解ー聴読解ぶっ通しで休憩はありません。
よって、コンディションによっては試験中に寝てしまう学生が出てきます。
妙に点数が悪い学生に後日聞くと「居眠りしちゃいました」みたいなことを言います。
また、私自身がこのテストをやってみて実感するのですが「集中力がモノを言う」のです。ぼーっとしてるとネイティブでもダメです。
そう考えると
脳のコンディションが良いー実力+10点ぐらい取れる
脳のコンディションが悪いー実力-30点ぐらい落ちてしまう
という現象が起きるのがこの「日本語科目」の怖い所です。
で、
テスト前夜の十分な睡眠
が、かなり重要になります。
受験前の様子
日本留学試験を受験に行く学生の引率をしたことがあります。
テスト会場に赴く電車内の様子で大体点数の予想ができます。
車内でスマホで最後まで勉強してるのはきっと300点以上を狙う受験生です。
あるいは「テストに真摯に向き合うことを知っている」学生です。
テスト前にも関わらずLINEやフェイスブックでチャット、あるいはゲームに興じている学生もいます……。そんな学生を引率してると、学生の本音が垣間見えたような気がして、がっくりです。
読解は解答の4択を見てから
留試の読解だけは解答の4択を読んでから本文を読んだほうがいいという確信があります。答えは必ず本文中にあるので、選択肢と本文を照合しながらチェックをすれば正答が浮かび上がってくる感じです。
日本語能力試験のN1だと引っかけ問題があったり、微妙なものがあったりしますが、留試は「微妙」な問題はほぼなく、ちゃんと本文と選択肢を読み比べれば解答が読めるようになっています。
ところで問題文のほうは「正しいものを選べ」ではなく「間違っているものを選べ」になっている場合もあるので、チェックが必要です。
留試は楽しい
教えたり模試をしたり、過去問を見たり、授業で留試を受け持つと、内容が興味深いものが多く、教師は発見があります。
若い頃には見えなかった学問の魅力を感じること、最新の情報に触れることもでき、留試の授業は学生はともかく、教師は楽しむことができます。
自分の大学の専攻内容と重なる問題だと、懐かしさを覚えたりすることもあります。
仔羊おばさん