さて、留学生が日本語のレベルを証明するための試験「日本語能力試験」の3回目の記述です。
と、折りしも再び「外国人の入国一時原則ストップ」と大々的に報道されています。
今日本語教育機関で日夜、身を削って教えている先生方のため、人手不足でどうにもならなくなってる業界の方のためには、入国が再開されれば良いのにとワタクシも思います。
ただ、これを機会に人手不足を海外人材に頼ることと、ちょっと甘い気持ちで日本に留学してしまう学生をどんどん受け入れることについて、立ち止まって考えないといけません。
技能実習の制度についての問題点はよく指摘されていますし、借金背負って来日して学習もバイトもうまくいかず苦しむ留学生が増加したってお互いのためにはなりません。
今日は「日本語能力試験」を通じてそういうことを考えるきっかけにしていただければと思います。
日本語能力試験の最上位のテストは「N1」です。
漢字圏の学生なら、来日時の日本語が初級でも、2年のうちにN1に合格するのは珍しいことではありません。
しかし、非漢字圏の学生となると、来日時初級で来日2年でN1に合格、というのはよほど頭のいい学生だろうと思います。
一般的に日本語学校に来る学生ならば、来日時初級で2年目にN3合格あたりでやっとだと思います。「やっと」ということはN3不合格の学生もそこそこいるのが現実です。
文科省が専門学校、大学に入学する学生の日本語レベルはN2以上が望ましい、と通達を出したのが平成の何年でしたか。
ワタクシがかつていた専門学校では昔はN1に合格してないと留学生は嫌がられたもんです。N2合格なんて「できれば入れたくない。どうせ授業についていけないから学生にとってかわいそうだ」と言っていました。2000年代初頭あたりまで。
それが「さあ、これから少子化だ。18歳人口が減る」と言うようになるところっと手のひらをひっくり返し「N2合格なら是非来て。よその専門学校には行かせないで！」と言うようになりました。
そこに日本人の本音があるのです。
(￣ー￣)
今専門学校でも大学でもN2レベルじゃなくても入学してます。
別に文科省の通達が消えたわけではありません。まともな大学と専門学校はこの「N2合格レベル」を遵守しておられます。
しかし中には、学生数が足りないので入試で「N2合格と同等とみなし」入学させている学校もあるのです。
ワタクシが非漢字圏主体の日本語学校で教えていた学生の大部分の目標は
N2に合格する事
でした。
N2の資格を持っていると、給料が上がったりする国もあるそうです。
N3持ってれば日本語を教える先生だってできると聞きました。
で、その留学の具体的な目標であるN2合格ですが、日本語学校ではどのくらいこの「N2」に合格させることができるかで日本語学校の価値がはかられたりします。
日本語学校にお勤めの方ならばおわかりだと思いますが、日本語学校終了までにN2に合格させるとなると、国でN3まで合格して来日してもらいたい。
そうならば日本語学校在学中にN2に合格できるだろうと予想できます。
なので、今の国内の日本語学校をまともな状態に持っていきたければ、学生募集の段階で入学条件に「N3合格」を入れ、それを厳格に守れば、おそらく国内の日本語教育はもっとうまくいくだろうと思います。
これを阻んでいるのが日本語学校に学生を送ればいくら稼げる、という「バックマージン」です。
留学生の国の留学仲介業者は、学生一人を日本に送り出すことができれば、結構なお金を手にできます。で、そんな業者からしたら「N3合格者」だけに絞られると商売あがったりです。マージンがいくらなのか私ははっきり聞いてないのですが、業者によっては本当に「かなりの額」というのもあるようです。
だから、この「バックマージン制」を何とかすることも日本への留学をまともなものにしていくのに必要なことだと思います。
賢い学生はきっと、悪質な業者を見抜き、甘い言葉に引っかからずに留学する、しないについて適切な判断ができるだろうと……信じたい……。
しかし、業者の甘い誘惑に半ば騙されて借金背負って留学してしまうと本当にきつい。
やはり、悲劇を防ぐには非漢字圏の学生の場合は「日本語能力試験N3合格」を必須条件にしたらどうだろう？ と、ワタクシは思います。
NATというテストもありますが、そのN3合格はやめといた方がいいです。
日本語能力試験はテストの精度には高いものがありますから。
そんなことすると、日本が更に不況になり、人手不足に陥るでしょうけど……。
働くことを目的に来日する人には、今の技能実習よりもうちょっと人権に配慮した制度が必要だと思いますが、すると「日本人労働者以上の好条件」になってしまうかも……
(￣ー￣)
残業代をきっちり払うとかだとそうなっちゃわない？
仔羊おばさん
