さて、先日「103万の壁」は引き上げたほうがいいらしいということを書きました。
今日は、その補足説明です。
まず、年収103万をどう考えるかなのですが、本来、
年収103万円以下の方からは税金を取るべきではないだろう。
という、しごくまっとうなボトムラインです。
とはいえ、物価も上がってきていますので、非課税ラインを引き上げた方がいい、というのは大変まともな考え方ですよね。
でも、長年この額は上がってきませんでした。
このラインの上に
106万の壁
130万円の壁
があります。
企業の規模が51人以上かどうかによってそのどっちかの壁が決まるんですけど、ともかく、どんな小さい企業でも年収130万円以上の方は扶養から外れ、年金、健康保険ともに自分で加入しないといけない年収の基準になります。
で、国保・国民年金だと支払額も大きく、その割にもらえる年金も少ないから、なんとなく避けたい。
週20時間以上の勤務時間なら社保加入対象者です(在学中の学生さんは対象にならないみたいです)。
で、今の最低賃金で計算すれば、大抵の企業で年収160万円以上がおおむね週20時間労働以上の方と重なります。
この額を基準に扶養を離れ、社保に加入できれば社保は雇用している会社が保険料を半分負担することになっているため、労働者にとっては良い条件です。
ここで、雇っている企業がどんな経営状態であるか、どんな企業であるか、社員やパート・アルバイトをどう考えているか、が問われることになります。
もしも103万の壁と同時に130万の壁を上げてしまうとどういうことになるか。
これは、庶民はよく考えないといけません。
ここに、「そこそこ儲けてる企業」「収支トントン、でも安定的な企業」があるとする。
もしもそんな企業が
「勤務は週20時間を超えないでください」
「うちでは社保加入条件に達する雇用は認めません」
という姿勢だと、この103万、130万の壁額を上げてしまうと、これはまたまた企業の一人勝ちと申しますか、非正規雇用が正規雇用化されずに非正規を却って増やしてしまうことになる可能性もあります。
これだといつまでも庶民は不安定雇用の中で苦しむことになるかもしれません。
だから、これらの制度についてはよくよーーーく考えないと、「ええやん!」だけで突っ走ると大変なことになります。
雇用が正規化することの良い点は、働く人その人の利益にもなると同時に、熟練労働者が増える、ということなので顧客サービスなどは向上します。
例えば、コンビニに店主以外に正規雇用の熟練した店員さんがたくさんいればいるほど、お客さんが何か聞いたときに即座にしっかり対応してくれて助かる、という図式です。
安く雇えればそれでいい、と企業が考えるかどうかは、その企業の姿勢ですよね。
一方で「経営ぎりぎりで苦しい」企業にとっては、非正規で良い人材を確保したいですから、103万や130万の壁を上げてもらうと都合がよいということだろうと思います。
そういう経営者の苦労を考えると、こういった「壁」額の引き上げは望ましいことになる。
なので、一概にどの策がいいかは言えないんだなあ。
( ̄ー ̄)
ワタクシ自身は、106万も130万も壁は一切なくしたほうがすっきりすると思ってます。
「103万の壁」にしても「その方が得だからそれ以上は働かない」という方のために設けられた基準じゃなく、「この年収以下の人からは税を徴収するのはひどいよな」という基準です。
ワタクシは、社保加入についても、もっと広く多くの方が「扶養関係なくそれぞれで加入」でいいと思います。特に厚生年金に加入できる人を増やしていく施策(要は企業が半分負担するやつ)が望ましい。
そうすれば「働き控え」はなくなってくと思います。
でも、働けない事情のある方もいる。
だからそういう方には「103万の壁」引き上げは大きい意味がある。
全ての国民にとって最も望ましい施策
はものすごく難しいですよね。
ワタクシはやはり「持たざる者」に手厚い施策が望ましいと思います。
逆に言えば「元気で働けるしもっと働きたい人」が「損だから働き控え」をしてしまう施策はいいものじゃないと思ってるんです。
「できるだけ安く雇ってやれ」という姿勢の企業はあんまり応援できないなあ。
末端を大事にしてくれる企業が好きです💛
仔羊おばさん