さて、我が社を辞めかけているトシさんのお話の続編です。
ワタクシは、トシさん入社時の面接をした方の側です。
その時にトシさんの履歴書は拝見したのですが、その後しげしげと見たことはなく、トシさんとの会話から、トシさんの履歴を聞いているわけです。
トシさんは55歳だか50歳だか、「定年」まではライターの仕事をしていたそうです。
これが、トシさん曰くの本当の仕事のようです。
今も、フリーで食っていけるものなら戻りたいと言っていました。でも、フリーでやっていくにはきっと、世の中の景気がよくないとそんな甘い話はないだろうし、また、ワタクシのいる関西は一地方都市、と考えると市場も狭い。
東京ならフリーで食っていける市場もあるのかなと思いますが、長年関西で暮らしていると、ここはもう離れられません。
そこでトシさんは、住宅ローンが払える職場に就職します。
具体的には塾講師、そして日本語教員です。
しかし「世の中こんなこともあるんやな」とワタクシが驚くほど、トシさんは教師に向いています。
声もいいし、滑舌もいいし、対人にも向いていて、長年ライターをやっていた方とは思えないほどです。
しかし、どうも話を聞いていると、教師になってからの「転々とする」暮らしぶりは結構なもんです。
だからこそ自宅マンションから通えないほどの大坂の我が社にやってきたのです。
ワタクシはそれで助かってますから、ぜひ辞めずにうちの職場にいてほしいものだと思っています。
だけど、自宅のローンを払いつつ賃貸の家賃も払う二重生活が苦しい。
そう言われれば、確かに我が職場には無理がある。
(>_<)
…なぜ彼は、我が社に来たのか?
そして定年後、転職を繰り返し迷走しているのか?
様々な理由があるでしょう。
今朝、ワタクシが思うもう一つの「退職/転職」理由、それは
自分を必要としてくれているところにいきたくなる
です。
ワタクシの生きる世界では、社員にそうちやほやしてくれません。
「社員を大事にする気風」みたいなもんがないんです。
そもそも低賃金の日本語教師に甘んじている時点で、正社員でばりばり働く層の方からは、尊敬の念なんてもらえません。
どっか心の中でばかにされてると思います。
し、…ワタクシ自身、心のどっかでそんな自分を、自分でバカにしてるところもあります。
「バカにしてる」が不適切な表現であるなら、「この生き方を反省している」という優雅な言葉で表現してもいいです。
同じことです。
表裏一体です。
トシさんは、ある意味「愛情に飢えている」のかもしれません。
自分を必要としてくれているところに就職したい。
当然です。
でも就職してしばらくしたら、蜜月期は過ぎ、上司からは叱責されるようにもなり(特に我が職場は結構理不尽な叱責にも遭う)、自分を必要としてくれてるという感覚がどんどんなくなっていきます。
すると「辞めたい病」が顔を出します。
ワタクシだってそうだもん。
仔羊おばさん