50~60代女性の転職 from55life

長年のワーキングマザー経験から綴る今

なぜ仕事を辞めることになるのか③

「職場のどろどろ」と言っても、自分の職場にそういうことがあったとは、実は在職中は気がついていませんでした。

 ただ、「ごたごた」があったことは事実です。

 結構な量の「非常勤講師首切り」がありました。

 非常勤講師は1年単位の契約で、この点は専任教師も同じなんですが、悲しいことに待遇のよくない非常勤講師から切られていくのです。

 これがもう一つの「仕事を辞める」理由につながります。

 

 「非常勤講師の首切り」をきれいな言葉で言えば「契約終了」です。

 

 ではなぜこの首切りが起きるのかと言えば、入学者数に増減が生じるからです。

 学生が増えればとたんに講師が不足し、講師を雇います。学生が減れば講師が減らされます。

 

 思えば私の上司は根が優しい人だったのでしょう。非常勤講師の首を切るという選択をせず、公平に授業コマ数を減らして対処する、という道を取っていました。もともと週当たり授業コマ数25の講師は20になり、1年後に15になり…というやり方をとっていたのです。

 その中で、コマ数の多い講師は「こんなんじゃ生活やっていけない」と、辞めた先生もいました。しかし、週に二日、三日働ければいい、という主婦講師の方々には悪くないやり方でもありました。また、学生数が急に増えた場合にまた募集をして面接やら試験やらして採用…というのはかなりな手間でもありますので、学校にとってもまずいやり方ではなかったはずです。

 ところが「組織」というのは恐ろしいものなのです。

 週に1日、という講師がかなり膨れ上がってしまい、次年度も学生数横ばい…というある年、「週に1回だけの講師の契約を全て終了しろ」という指令が私の上司に下りました。

 そして、それは実行されました。

 「えええ!なんでこの先生が⁉」という先生も含まれていましたよ。

 大学で講師としても活躍している先生…

 やんちゃな学生、扱いの難しい学生、学習意欲のない学生など、ものすごくしんどいクラスを担当してくれた(ということは、すごく学校から主任から信頼されていた先生ということです)先生…

 ここで一つ言えるのは、自分に何の落ち度がなくて、むしろ貢献のほうが多い人でも、まったく組織の都合で退職を余儀なくされることがある、ということです。

 では身を守るためにどうすればいいのかですが、私が思うのは:

 非常勤なら常勤を目指す

 常勤(1年契約)なら正社員(無期雇用)を目指す

ということです。

 よく、税金や保険・年金の優遇措置があるので仕事をセーブしている人がいますが、そのあたりは私は損をしてでも上昇を目指したほうがいいように思います。

 

 その後、体のいい首切り(契約終了)に遭った講師の方々が訴訟を起こす方向で動かれた、という噂を聞きました。集団首切りの3年後くらいだったでしょうか。事実かどうかわかりません。

 実際に訴訟になったのかどうかもわかりません。

 示談金とか出たのかどうか、わかりません。

 あるいはそれはただのうわさで、実際には何もなかったのかもしれません。

 

 ただ、当時の「契約終了」を実際に各講師に直接伝えた当時の主任はすごく恨まれていること、当時常勤講師として働いていた、私を含めて「主任派」みたいに思われている講師も憎まれていること、これは事実です。

 当時、主任に呼び出されて、「あんたはどっちにつくのか」みたいなことを聞かれ、「私は派閥争いは本当にいやなのでどっちでもありません。どっちにもつきません」と何度も答えました。でもその密室の会話は誰にも知られることはありませんから、結局私も憎まれているようです。

 

 そして、その主任はその「ごたごた」の中で学校の幹部から、「どうしてこんなことになったんだ」と、かなりつるし上げに遭ったらしいです。これは、私は辞めてから聞いたことです。

 それでもその主任はその学校を辞めていません。

 きっとこのまま定年までお勤めになるでしょう。

 それはなぜか?

 やはり、正社員だから、です。

 

 その方は正社員になるまで10年くらい言い続けていたそうです。

 

 私が在職中「ああすればよかった…」と後悔しているのは、一つはそれです。

「待遇に不満だ」と、「社員になりたい」と言うべきだったのです。

 

 ただ、私もワーキングマザーのはしくれです。ただ「上昇」といっても、そうもいかないのも事実です。これについてはまた次回。